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かいこん ほこら
悔恨の小祠
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 考え込む高耶の横で、直江と道男はなにやら仏具やら葬儀の話で盛り上がっていた。
 直江もなんだかんだで普段は真面目に家業に取り組んでいる様子が窺える。
 そうこうしているうちに留美子の姿が裏口に現れた。
「ミッちゃん、ごめんね」
 駆け寄ってきた留美子は、直江と高耶に対してもぺこりとおじぎをした。
「いいんだよ、落ち着いた?」
「うん」
「じゃあ、帰ろっか」
 ふたりは直江たちの方を向いた。
「なんだかお騒がせしてしまって」
「いえ、気になさらないでください」
「ほんとにすみませんでした」
 留美子と道男はもう一度頭を下げるとそのまま駐車場へと向かっていった。
 仲のよさそうな会話が聞こえてくる。
「帰りはミッちゃんの好きな曲かけようよ」
「え、いいよいいよ、ルミちゃんの好きなのにしなよ」
 残された二人は顔を見合わせた。
「仲いいじゃん。あれなら夢がかなうのも近いんじゃねえの」
「そうだといいですね」
 柔らかい視線を送る直江の横で、でもさ、と高耶は口を尖らせた。
「すげー美人ってわけじゃあねーんだけどなあ」
「???」
 留美子の方を見て言っている。
 直江には高耶が何を言いたいのかわからなかった。
「だからぁ、男ふたりを虜にするようには見えないってゆーか」
 つまり、高耶はそれほど留美子に魅力を感じないということだろうか。
 まぁ、顔立ちは地味なほうかもしれないし、ナイスバディともいえないだろうが、彼女の女性らしい雰囲気を好む男性は少なくないだろうと直江は思う。
 高耶にはそこら辺の魅力はまだわからないのだろうか。というより。
「……高耶さんは面食いなんですね」
「ちげーって。そーゆーことじゃねーよ」
 即効で否定した後に、高耶は真顔で言い放った。
「ほら、誰しも恋人にしか見せない一面があるっていうからさ。俺らにはわかんねぇ魅力があんだろーなって」
 柄にもない大人ぶった言葉を聞いた直江は小さく吹き出した。
「なんだよ」
 ふくれる高耶の顔をからかうように覗き込む。
「あなたにもそんな一面があるんですか」
「知らねーよ。つーか、あんたなんかそんな一面がいくつもあんだろ」
「見たいですか」
「みたくねーよ、そんなもんっ!」
 ついさっきまで震えていたことなどすっかり忘れて元気に声を張り上げる高耶を、直江は笑って車へと促した。
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かいこん ほこら
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