かいこん ほこら
悔恨の小祠
「行きましょう」
直江の号令で一同は渋々湿気の中へと足を踏み入れた。
大したことはないと思っていたのに中に入ると以外に広く感じた。
行く手は暗く、終わりまで見通せず、まるで未開のジャングルのようですらある。
先頭の直江が借りてきた草刈鎌を振るいながら道を切り開く。
が、植物は絡み合っていて中々すんなり断つことができない。
結局、直江と千秋で《力》を使いながら道を開き進んだ。
空気が湿気を通り越して水気と呼びたいほどにじめじめしている。
なんだか息苦しい程だ。
高耶はそこここの植物に見覚えがある気がした。
デジャブに似た妙な感覚だった。
しばらく進んでも、一向に動物の気配はない。
植物のせいで少しずつしか進めず、時間ばかりがかかる。
露を含んで体に張り付く衣服のせいで身動きがとり難いのもあって、すぐに全員息が上がり始めた。
それでも黙々と進み続ける。誰が最初に音を上げるかの我慢比べになり始めたとき、
「くっそう、甘く見てた」
メガネがくもるわ、汗でずり落ちるわでイライラしていた千秋がとうとう愚痴をこぼした。
それをきっかけにして譲と直江も口を開く。
「これじゃあ何かがいたとしても、暗くて見えないよ」
「ちゃんとした装備が必要だな。手探りで探すんじゃ時間がかかりすぎる」
「ちょっと無謀すぎたよな。一度晴家のヤツを連れてきたほうがいいって」
直江も千秋も先程から度々霊査してみるものの、何もひっかかるものがない。
もしかしたら、この林にはもともと何もないのかもしれない、思い始めたところで、
「待てよ」
と声が上がった。
高耶が木々の間の暗がりをじっと見ている。
「何です」
「あっちの方が気になるんだけど」
高耶が指差すのは今進んできた場所から少し横に逸れた方向だった。
「何か感じるんですか」
「……たぶん。よくわかんねーけど」
直江も千秋も特におかしな気配は感じない。
というより、無駄に《力》を使ったため、集中力が途切れてしまうのだが、それでもやはり何かあるとは思えない。
言い出したら聞かない高耶をどうやって説得するか、それぞれが考え始めたとき、譲までもが言い出した。
「なんだか僕も感じる」
直江と千秋は顔を見合わせた。
高耶を信用していない訳ではないが、譲が言うのならば本当に何かあるのかもしれない。
「じゃあ行ってみましょう」
一行は重たい足をその方向へ向けた。
直江の号令で一同は渋々湿気の中へと足を踏み入れた。
大したことはないと思っていたのに中に入ると以外に広く感じた。
行く手は暗く、終わりまで見通せず、まるで未開のジャングルのようですらある。
先頭の直江が借りてきた草刈鎌を振るいながら道を切り開く。
が、植物は絡み合っていて中々すんなり断つことができない。
結局、直江と千秋で《力》を使いながら道を開き進んだ。
空気が湿気を通り越して水気と呼びたいほどにじめじめしている。
なんだか息苦しい程だ。
高耶はそこここの植物に見覚えがある気がした。
デジャブに似た妙な感覚だった。
しばらく進んでも、一向に動物の気配はない。
植物のせいで少しずつしか進めず、時間ばかりがかかる。
露を含んで体に張り付く衣服のせいで身動きがとり難いのもあって、すぐに全員息が上がり始めた。
それでも黙々と進み続ける。誰が最初に音を上げるかの我慢比べになり始めたとき、
「くっそう、甘く見てた」
メガネがくもるわ、汗でずり落ちるわでイライラしていた千秋がとうとう愚痴をこぼした。
それをきっかけにして譲と直江も口を開く。
「これじゃあ何かがいたとしても、暗くて見えないよ」
「ちゃんとした装備が必要だな。手探りで探すんじゃ時間がかかりすぎる」
「ちょっと無謀すぎたよな。一度晴家のヤツを連れてきたほうがいいって」
直江も千秋も先程から度々霊査してみるものの、何もひっかかるものがない。
もしかしたら、この林にはもともと何もないのかもしれない、思い始めたところで、
「待てよ」
と声が上がった。
高耶が木々の間の暗がりをじっと見ている。
「何です」
「あっちの方が気になるんだけど」
高耶が指差すのは今進んできた場所から少し横に逸れた方向だった。
「何か感じるんですか」
「……たぶん。よくわかんねーけど」
直江も千秋も特におかしな気配は感じない。
というより、無駄に《力》を使ったため、集中力が途切れてしまうのだが、それでもやはり何かあるとは思えない。
言い出したら聞かない高耶をどうやって説得するか、それぞれが考え始めたとき、譲までもが言い出した。
「なんだか僕も感じる」
直江と千秋は顔を見合わせた。
高耶を信用していない訳ではないが、譲が言うのならば本当に何かあるのかもしれない。
「じゃあ行ってみましょう」
一行は重たい足をその方向へ向けた。
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悔恨の小祠